味わってほしいのは、
チーズという存在の神秘性

カオリーヌ菓子店のチーズケーキは、
人類が数千年にわたって育んできた「チーズ」という食文化の奥深さを、多くの人たちに伝えたくて作っています。
チーズからほとばしる生命の神秘。
雨や土から牧草が育つ。牧草を食べて牛やヤギが育つ。
牛やヤギは、子どもを産むことで乳を出す。
乳は人の手仕事によって味わい深まり、
滋味あふれるチーズに生まれ変わる。
そう、チーズって自然界の恵みやいのち、そのつながりが
すごく感じられる食べものなのです。
私はその存在そのものが愛おしくて、
今日もチーズケーキをひとつひとつ手作りしています。
グルテンフリーの暮らし
から見えてきた日本

家族のアレルギーをきっかけに、小麦を使わない生活がはじまりました。
苦悩はつきませんでしたが、
フランス料理や菓子を学んだ経験と、フランスチーズ旅があったからこそ
小麦なしの「私の家庭料理」が生まれていきました。
グルテンフリーで暮らすには、日本食を中心とした食生活にするのが一番。
米粉に想いを巡らせるときに、ふっと気づくのは、
お米は“主食”であり日本人のアイデンティティだということ。
目に浮かぶのは、食卓にいくつもの小皿が並ぶ光景。
聞こえてきたのは、いにしえの日本の食文化にこめられたメッセージでした。
大地が教えてくれること

たとえば、大豆を育ててみる。
緑色から黄金色に変わり、枝豆から大豆へ。
きなこや豆腐、さらに納豆、醤油、味噌などさまざまな発酵食品へ。
むかしはこのあたりにも田んぼがあって、あぜ道で大豆を育てていたそうです。
あぜ道はなくなったけど、たくましい大豆は、姿を変えながらいつも人のそばにいる。
育てる、つくる、食べる。なにより、楽しむ。
人と世界、地球の健康と安全のために
緩やかに日本の大地と語り合おう。
手の込んだ料理より、
心を込めた料理を

食べものをやさしく触って、しっかりと見て、じっくりと聞く。
食べる人の体調や気持ちを感じながら、心を込めて作る。
食べものさんとお話をしてその個性を活かしながら、
簡単にシンプルに、でも丁寧に作っていけば
作る自分の心も癒されて整っていく。
では食べる人は?
目の前の料理と丁寧に向き合うことで、
自分が自然の一部であることに気づき
あらゆるものへの感謝の心が生まれます。
地球全体を味わっているような気持ちになれるのです。
五感に美しい
花を咲かせる

いかがでしたか。
カオリーヌの食べものさんとの会話。
目の前にある賜の向こうには何が見えますか。
「いただきます」「ごちそうさま」「ありがとう」
さぁ、みなさんも、五感をめいっぱいひらいて
心で味わいましょう。
そして、あたたかくなったその心を味わいましょう。